ナイアシン ヒトにおける知見

ナイアシンを大量摂取(1,500 mg/日)しているまるとしては・・
これをどう読むか?

ニコチン酸(ナイアシン)及びニコチン酸アミドの大量投与によるヒトへの影響
内閣府食品安全委員会で評価書を公開しています。

ヒトにおける知見部分抜粋

(6)ヒトにおける知見
ニコチン酸及びニコチン酸アミドの大量投与によるヒトへの影響は、低コレステロール血症、脂質異常症、糖尿病等の予防又は治療に用いられた結果、血管拡張作用、消化管への影響、肝臓毒性及び耐糖能異常といった主要な有害影響のほか、血小板減尐症、血漿中ホモシステイン濃度の増加、類のう胞黄斑浮腫等が数多く報告されている。(参照9)

① 血管拡張作用
ニコチン酸による皮膚潮紅反応は半世紀以上前から認識されている。(参照15)
高用量の投与で通常軽度で一過性の潮紅がみられるが、低用量でも空腹時に摂取すると潮紅発現の可能性があるとされている。しかし、ニコチン酸アミドの投与では、糖尿病患者に対しての高用量の静脈内投与又は経口投与においても発現しない。(参照9)

② 消化管への影響
ニコチン酸及びニコチン酸アミドの高用量の投与により、吐き気、嘔吐、消化不良、下痢及び便秘といった消化管への影響がみられる。(参照9)
大量のニコチンアミドの反復投与により、散発性で一過性の頭痛、吐き気、嘔吐といった有害影響がみられる。(参照11)

③ 肝臓毒性
ニコチン酸の高用量の投与における最も重篤な有害影響は肝臓毒性である。肝臓への影響は1,000 mg/ヒト/日以上のニコチン酸を摂取したヒトに時々発現する。
肝臓毒性は、肝細胞損傷により肝臓由来の血清トランスアミナーゼが増加することにより検出されるが、トランスアミナーゼの血清中濃度のわずかな増加は肝臓の重篤な損傷を示唆するものではなく、ニコチン酸の摂取を中断すれば正常に戻る。
より重篤な反応では、黄疸及び倦怠感発生のほか、劇症肝不全の報告もある。(参照15)
3,000 mg/ヒト/日のニコチン酸を5 年間に渡って投与された患者1,119 人の約3分の1 に、血清AST 及びALP の上昇がみられたと報告されている。
高コレステロール血症又は高トリグリセリド血症の患者におけるニコチン酸使用の結果、重篤な肝臓毒性を示した多くの症例報告がされている。
徐放性ニコチン酸の投与4 例(2,500 mg/ヒト/日の5 か月間投与、1,500 mg/ヒト/日の3 か月間投与、2,250 mg/ヒト/日の投与期間不明及び2,000 mg/ヒト/日の投与期間不明)で肝臓毒性が発症した。
全例で、ニコチン酸の投与を中止した結果、肝臓の毒性徴候は消失した。ある報告では、1 か月間の投与試験で、投与量が1,000、3,000 及び4,000 mg/ヒト/日と増加するに従い、最終投与後に食欲不振、疲労及び持続性の吐き気が生じたことから、徐放性のニコチン酸による用量依存性の影響が示唆された。
この試験では、ニコチン酸を用いた治療の中止3 週間後には、迅速な症状の回復がみられた。(参照9)
標準型(非徐放性)及び徐放性のニコチン酸の投与による肝臓毒性及び有害影響について、有害影響は被験薬が標準型(非徐放性)から徐放性のニコチン酸に変更後短時間のうちにしばしばみられる。
徐放性ニコチン酸は全ての試験で常に観察されるものではないが、より重篤な肝臓毒性を発現させることを示唆する複数の試験報告がある。(参照9)
Ⅰ型糖尿病と初めて診断された28 名の患者にニコチン酸アミドを12 か月間投与(25 mg/kg ヒト/日)し、同様の人数の被験者に偽薬を投与した。
有害影響はみられず肝機能及び腎機能を含む生化学的パラメータの追跡調査では正常であった。(参照9)

④ 耐糖能異常
高血糖症において高用量のニコチン酸により有害影響が生じるのはまれであるが、臨床的には重要であるといえる。ボランティアに3,000 mg/ヒト/日のニコチン酸を10~14 日間投与した結果、血清中の空腹時血糖及び免疫反応性インスリンが増加した。
1,000~3,000 mg/ヒト/日のニコチン酸を2 週間以上投与された真性糖尿病患者6 名において、血糖値の上昇、糖尿、血清ケトン体増加及び血糖降下薬要求性の上昇が報告された。
また、高用量のニコチン酸(平均1,700 mg/ヒト/日)を投与された高齢の脂質異常症患者において高血糖症の発現率が高いことも報告されている。
3,000 mg/ヒト/日のニコチン酸を4 か月間投与後に重篤な高血糖症を発症した入院患者では、インスリンを投与し、血糖降下薬を経口投与した後に回復し、血糖値は安定した。
ニコチン酸アミドが糖尿病の発現の危険性を低減させることについて調べられたが、投与群において糖尿病の徴候が悪化したという報告はない。(参照9)

⑤ その他の影響
ニコチン酸の投与開始10 年後に肝炎を発症した患者における血小板減尐症は、ニコチン酸の投与を中止すると消失した。(参照9)
重篤な可逆性の類のう胞黄斑浮腫が高用量のニコチン酸を投与された患者3 名で報告された。脂質異常症の治療を目的にニコチン酸を投与(3,000 mg/ヒト/日以上の用量)された116 名の患者及びニコチン酸を投与されていない同様の人数の患者を調べた結果、乾燥症候群、眼けん浮腫又は黄斑浮腫を伴う視力低下の発現率の増加が明らかとなった。(参照9)
また、種々の試験結果から、ニコチン酸及びニコチン酸アミド投与の有害影響発現率は、被験者の年齢が異なっても同様であった。(参照9)

3.国際機関等における評価について
(1)OECD における評価
OECD では、ニコチン酸アミドについて急性毒性は非常に低いとされ、雄ラットを用いた経口投与による4 週間亜急性毒性試験及びラットを用いた生殖発生毒性試験で、NOAEL がそれぞれ215 及び200 mg/kg 体重/日と設定されているが、遺伝毒性はないと考えられている。ヒトにおける急性暴露後の主要な影響として吐き気がみられ、嘔吐を伴う場合と伴わない場合がある。これらの症状は通常、5,000 mg/ヒト/日を超える投与量でみられるが、持続性の影響は報告されていないとされている。(参照11)

(2)SCF における評価
SCF では、ナイアシンの過剰投与による有害影響は主に高コレステロール症や高脂質血症の治療のためにニコチン酸を高用量で投与した場合に発生するとされ、ニコチン酸及びニコチン酸アミドにおいて、有害影響が異なることから、異なるUL(Tolerable Upper Intake Level;許容上限摂取量)が設定されるべきであると考えられた。
ニコチン酸では、30 mg/ヒト/日の投与で潮紅が発現することから、不確実係数3を適用して、UL として10 mg/ヒト/日が設定され、ニコチン酸アミドでは、糖尿病患者及び糖尿病の危険性のある患者における投与試験の結果から得られたNOAEL25 mg/kg 体重/日に、不確実係数に2 を適用して12.5 mg/kg 体重/日又は900 mg/ヒト/日と設定された。(参照9)

(3)FDA における評価
FDA では、ナイアシンについて、適正製造規範(Good Manufacturing Practice;GMP)に基づいて食品に使用する場合、GRAS 物質(Generally Recognized assafe;一般に安全とみなされる物質)とされている。(参照16)

(4)その他
CRNでは、ニコチン酸について、潮紅反応は一過性で病理組織学的変化を伴わないことから、不快要因ではあるが危害要因ではないと判断された。臨床試験の結果から、肝臓又は消化管への影響に対し、NOAEL 500 mg/ヒト/日及びLOAEL 1,000 mg/ヒト/日が設定されたが、標準型(非徐放性)のニコチン酸1,000 mg/ヒト/日を摂取した場合の有害反応は主に消化管への影響で、同用量における徐放性ニコチン酸で引き起こされる肝臓毒性よりも、通常重篤な症状が発現する可能性は尐ないことが知られている。また、消化管への影響は消費者(摂取者)
が気付くことにより自己制限又は自己制御する傾向があることから、徐放性ニコチン酸のNOAEL 及びLOAEL は標準型(非徐放性)のニコチン酸の2 分の1 程度と考えられた。
標準型(非徐放性)ニコチン酸のLOAEL レベルの摂取による肝臓毒性への影響は稀で、一過性及び短時間型であることを考慮して、NOAEL がTolerable Upperintake Lebel from Supplements(ULS)として適切であると考えられ、標準型(非徐放性)ニコチン酸のULS は、潮紅に対する適切なラベル付けを条件として500mg/ヒト/日、徐放性ニコチン酸のULS は、250 mg/ヒト/日と設定された。
また、ニコチン酸アミドについては、臨床試験の結果からULS は1,500 mg/ヒト/日と設定された。(参照15)

9. SCF:欧州食品科学委員会
11. OECD:経済協力開発機構
15. CRN:Hathcock JN.”Niacin,Nicotinic Acid and Nicotinamide”.Vitamin and
Mineral Safety 2nd Edition,Council for Responsible Nutrition,2004
16. The Code of Federal Regulation,Title 21(food and drugs),Chapter 1,
Subchapter B,Part 184,Subpart B,Sec.184.1530 Niacin
CRN:米国栄養評議会
FDA:米国食品医薬品庁

内閣府 食品安全委員会
ナイアシン評価書
出典:内閣府ホームページ
http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kya20100216050&fileId=201

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